シナプススタッフリレーコラム『電脳随想』

月曜日, 5月 4th, 2020 投稿者:電脳随想

「母のお見舞い」

【投稿者】
サポートセンター課 比良 美和子

一年前の今ごろも、マスクを着けて過ごしていた。一年半ほど前に、母が入院することになったためだった。
母は脳梗塞で入院が急に決まった。それまでに、手術などで病院のお世話になった事があったものの、事前に打ち合わせして話が進んでいた。
突如決まった入院で戸惑う事も多かったが、家族で病院に通う日々が始まった。
母の生活圏が病院に変わってしまったため、会いに行く際は病棟のやり方に合わせる事になった。マスクを着け、病室に入る前に自分の名前を記帳し、部屋に入る直前に消毒液を手に刷り込む。
病室に入ると母がベッドで寝ているのだが、病気の影響で体を動かすのは難しく、スタッフさんの介護を受けていた。

入院前日に数回母の介添えをしたが、脱力しているに等しい体を支えるために予想外の力が必要と判り、動かすのも容易ではなく、スタッフさんがテキパキと介助しているのを見ると、毎回すごい…と思わずにいられなかった。
入院したら寝ているものだと思い込んでいたけれど、意外と母にはスケジュールが用意されていた。
当時病室にて書いていた日記を見てみると、
午前10時:リハビリ
午前11時:お風呂(注:特定の曜日のみだった)
正午あたり:昼食
午後03時30分:リハビリ
午後05時:夕食
メモしている事だけでも、この数。
また、定期的に検温や体の向きを変える事も行われるため、頻繁に病院スタッフさんがベッドの所に来る。
スタッフの皆さんが、都度明るく声をかけてくださるので、母も寂しくないかもと感じる事が多かった。気さくな方が多く、母の状態をきくと親切に答えてもらえた。
お風呂に入れて貰えるのも有難かった。髪もサラサラになって、衣服も着替えて、何も言わない母もきっと満足していたことと思う。
しばらくの間この病院でお世話になった後、母は次の病院への転院が決まった。
転院する頃には、母はリハビリで車椅子に座ることができるようになっていた。
私は次の病院へ見舞いに通うようになり、おかげさまでマスクを着けるのにも慣れた。


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