新幹線劇場。
どうもこんにちは、たけうちです。
年末年始に読んだ「新幹線お掃除の天使たち」で、「仕事ってなに?」の重要性に改めて気付かされました。「あなたの会社の仕事はなに?」とか、または「あなたの仕事はなに?」と問われたときに、どういう答えを持っているか?が、仕事の品質そしてやりがいにとても大きな影響を及ぼすということです。
「新幹線お掃除の天使たち」は、JR東日本の運行する新幹線の、車内清掃を専門とするJR東日本子会社「株式会社JR東日本テクノハートTESSEI(通称テッセイ)」という会社の話です。JRの下請けで車内清掃の仕事というと、年配の方の従事する目立たない仕事、もしくは目立ってはいけない仕事というイメージも少なからずありますが、テッセイは”魅せる清掃~新幹線劇場~”という現場力で注目されました。
新幹線劇場は、テッセイスタッフがホームに一列に整列して、新幹線が駅に到着するのを待つシーンから幕が開けます。服装は灰色の作業着ではありません。カフェの店員のような装いで、季節に応じて帽子にハイビスカスを付けたり浴衣を着たり、またイベントに合わせてポケモンTシャツを着たりします。そして新幹線が到着。折り返し運行される新幹線のホーム停車時間は12分。お客様の降車に2分、乗車に3分かかるので、テッセイスタッフに許される清掃時間は7分。この7分間で、1人1両の担当エリアをピカピカにします。どんなに汚れていても時間延長はあり得ません。そのプロの手際の良さ、チームワークの絶妙さ、そしてお客様への礼儀正しさにより新幹線劇場が演出され、観客であるホームのお客様を魅了しているそうです。
テッセイという会社の理念は「さわやか・あんしん・あったか」です。「清掃」という単語は登場しません。この理念は、テッセイ専務の矢部さんがテッセイの改革を始めて2年くらい経ったときに掲げました。テッセイスタッフを目にするお客様は1日15万人。こんなたくさんのお客様にテッセイが提供するサービスは、きれいな車内環境だけではなく、「さわやかな空間・あんしんのサポート・あったかな対応」によって「思い出というお土産をお持ち帰りいただく」こと…という意図が込められています。この理念を全社・全スタッフで共有することで、新幹線劇場が成り立っています。
新幹線劇場の実現にはいろいろな要素がありますが、このシンプルな理念によって、「仕事ってなに?」を変えたことは、大きなポイントではないでしょうか。「あなたの仕事はなに?」という問いに対して、「車内の清掃です。」という答えからは、この新幹線劇場は生まれ難いでしょう。テッセイとそのスタッフが、自分たちの仕事は「さわやか・あんしん・あったかによる思い出のご提供です。」と仕事を定義し直し、仕事の内側にお客様を取り込み、そしてそれを愚直に徹底した結果、新幹線劇場が生まれたように思います。
ところで、テッセイは年間200名採用して、うち半数近くは1ヶ月で辞めてしまうとのこと。「劇場」という緊張感のある現場となると、自然と従事するスタッフを選んでしまって、辞めた人にとっては印象の悪いブラックな会社かも知れません。またこの取り組みが会社収益に相応の貢献をしているかは、ちょっと不明です。
新幹線劇場が会社のあり方としてベストかどうかは分かりませんが、何の変哲もなかった仕事に新しい息吹を吹き込み、それをやりがいに変えられる会社/職場というものは、見習いたいなと思います。
こんにちは。
「仕事」ですかぁ~。
改めて考えると何か難しいですね。
時々私は、「会社」ってなんだろうと考える事があります。
こんなことを書いたら浅墓な考えと思われるかもしれませんが
やっぱりどんな場所でも「笑顔と笑い声」がある場所って私は、繁栄・発展すると思うのですよね。
>テッセイは年間200名採用して、うち半数近くは1ヶ月で辞めてしまうとのこと。「劇場」という緊張感のある現場となると、自然と従事するスタッフを選んでしまって、辞めた人にとっては印象の悪いブラックな会社かも知れません。
でも、繁栄・発展と言う前に、会社も仕事もやっぱり相性というものあるのかもしれませんね?
http://www.youtube.com/watch?v=ZM9ybX7-2rg
コメント by 9時から男 2013年1月26日 3:28 PM
9時から男さん、こんにちは。
いつもありがとうございます。そうですよね、「笑顔と笑い声」というポジティブさは必須ですよね。簡単そうで難しいことのように思いますが…。
コメント by たけうち 2013年1月28日 1:38 PM